セマングム干拓裁判へのメッセージ 

前にお知らせしたとおり、2/25-26に、助成先「日韓共同干潟調査団」
のシンポジウム(高木基金共催)が開催されました。
韓国ですすめられているセマングム干拓事業の問題が、シンポの焦点
でしたが、今月下旬には、33kmに及ぶ巨大な干拓堤防の最後の開放
部分、2.7kmをしめ切る工事が開始される予定となっています。
セマングム干拓事業については、工事の埋立免許取り消しなどを求め
た裁判について、近く最高裁判所が判断を下す見込みで、これに関す
る緊急のメッセージを、今回のシンポで採択しました。
このメッセージに賛同いただける個人・団体は、至急、下記の宛先
にメッセージをお寄せ下さい。
下記に今回採択したメッセージの和文と、同じ内容の英文をつけて
おきますので活用してください。
メッセージは和文でも構いませんが、その際は、PDFファイルで送る
ことをおすすめします。

送り先は韓国環境運動連合KFEMの Ma Yong-Un さんです。

Ma Yong-Un KFEM-FoE Korea
ma@kfem.or.kr

メッセージの文面は続きをご覧下さい。


2006年2月26日
大韓民国大法院長
イ・ヨンフン様

拝啓

セマングム事業の中止を要請してお手紙を差し上げます。

潮受け堤防が完成し、セマングムの河口域が淡水化、陸地化された場合、
渡り性のシギ・チドリ類にとって、韓国内において、黄海地域において
唯一の重要な生息地を韓国は失うことになります。この河口地域が失わ
れれば、国益においても、韓国の国際的イメージにとっても重大な損失
となります。このことは韓国の自然保護関係の法律と政府の指導性に著
しく背反し、いくつかの渡り性水鳥の個体数が減少し、また、西海岸お
よび黄海の重要な部分全体における漁業に対してはなはだしい損失をも
たらします。

韓国政府がこの事業に対して、すでに多くの資金を投入していることは
認識しています。しかし事業完成の結果もたらされる長期的な環境的、
経済的な経費は計り知れません。

当初の目的は米作のための土地造成でしたが、この目的は自由貿易と韓
国と他の先進国の農業事情に鑑みると既にその理由を失っています。し
かし、この事業のもたらす環境破壊は、国内および海外の多くの専門家
の、重要な研究と歴史的な先例に基づく意見によれば決定的であり、広
範にわたります。
4万100ヘクタールの汽水域および干潟が失われると、水質と漁業が著し
く阻害されます。そのことの影響を最も深刻に受けるのは、この自然河
口域に支えられている地元の漁民であり、数万、数十万の鳥たちです。
セマングム干拓工事はカラフトアオアシシギ(全世界推計個体数1000)、
ヘラシギ(全世界推定個体数1800羽以下)、クロツラヘラサギ(2006年個体
数集計1681羽)など、世界的に絶滅が危惧されている渡り性の種にとって
欠くことのできない、さらに最良の生息地を破壊することになります。

したがって、セマングム干拓事業は韓国の環境と生物多様性を害するの
みならず、ニュージーランドからオーストラリアなど南半球から、ロシ
アや米国など北極圏にまでつながっている国々に対して負の影響を与え
ることになります。これらの国々は湿地の多くの価値を知っているので
自国の湿地を守ろうと努力するのみならず、それの再生をも行っていま
す。しかしながら、このような努力をしたとしても、セマングム事業が
完成してしまえば、多くの渡り性水鳥の種を助けるためには役立ちませ
ん。実際、セマングム干潟は韓国の領土ですが、渡り性の水鳥は多くの
国々が共有しているものであり、さらに重要なことは未来世代のもので
す。

韓国は最近、急速な産業化によってもたらされた環境破壊をさまざまな
手段をとおして元に戻そうとしていることを知っています。生物多様性
条約とラムサール条約の締約国となり、また、特に次回ラムサール会議
を開催すること(2008年)によって、韓国政府は、持続可能な開発と国内
自然資源管理の重要な部分として湿地と生物多様性を保全するために努
力する国として国際的評価を得ることを強く願っているように見えます。

韓国政府は、このことはラムサール条約の条文に記載されているように、
水鳥の個体数と国際的に重要な湿地を維持することでその国内的、国際
的義務を果たすべきです。

事業を中止することで初めて、国内法に基づく湿地の保全が意味を持つ
ことになります。また、2008年のラムサール会議でも、韓国の環境にお
ける遺産と、韓国政府の環境面の先進性に対する賞賛を受けることがで
きるでしょう。

大法院長閣下に置かれましては判決において、世界の人々、未来の世代
によきものを残すことのできるご判断をされるようお願いいたします。

敬具


韓日共同干潟調査団一同
日韓共同干潟調査団「日韓国際環境賞」受賞記念連続シンポジウム
 参加者一同
日本湿地ネットワーク
高木仁三郎市民科学基金


【以下英文のひな形です】

Dear Honorable Lee Yong-Hun,
Chief Justice of the Supreme Court of Korea


I am writing most respectfully to urge the cancellation of the Saemangeum project. If the seawall is completed, and the Saemangeum estuarine system converted to freshwater and "land", South Korea will lose the single most important known site for migratory shorebirds both nationally and in the Yellow Sea. Loss of this estuarine system will cause significant damage both to the national interest, and to South Korea's international image. It will undermine national conservation laws and government initiatives, cause declines in certain species of migratory waterbirds, and cause enormous damage to fisheries along the West Coast and throughout a significant part of the Yellow Sea. While we understand that the Korean government has already spent a lot of money on this project, the long-term environmental and economic costs that will result from completing the project are beyond measure.

Though the stated goal of creating land for rice farming is already disputed given free trade and farming trends in South Korea and other developed countries, the environmental destruction that the project will cause is, in the opinion of numerous national and international experts (based on significant research and historical precedents), both definite and widespread. The loss of 40 100 ha of brackish sea and tidal-flats will cause enormous damage to water quality and fisheries, which in turn will be felt most acutely by local fishers and by the hundreds of thousands of birds that are supported by the natural estuarine system. The Saemangeum reclamation will destroy essential and optimal habitat for globally threatened migratory species such as the Endangered Spotted Greenshank (with a world population of less than 1000 individuals), Spoon-billed Sandpiper (probably less than 2 000 individuals globally), Black-faced Spoonbill (with a world population of around 1681 individuals) and Saunders's Gull. Thus, the Saemangeum Project will not only harm the environment and biodiversity of South Korea, but that of a much wider region, negatively impacting on a chain of countries from New Zealand and Australia in the south to Russia and the US to the north and east. These countries, recognizing the many values of wetlands, are not only working to protect their wetlands, they are restoring them. These efforts, however, will not help numerous species of migratory waterbirds if the Saemangeum project is completed. Indeed, while the Saemangeum tidal flats are part of South Korea's national territory, migratory waterbirds belong to many nations, and most importantly, to future generations.

South Korea has taken many steps in recent years to try to reverse environmental destruction caused by very rapid industrialization. By becoming a signatory to the Convention of Biological Diversity and the Ramsar Convention, and especially by hosting the next Ramsar Conference (in 2008), the South Korean government has shown a strong desire to be recognized internationally for its efforts to conserve wetlands and biodiversity, as an essential part of sustainable development and national natural resource management. The South Korean government should thus meet its national and international obligations to maintain populations of waterbirds and internationally important wetlands, as called for by the Articles of the Ramsar Convention. Canceling the project will allow greater acceptance of wetland conservation under national laws, and will enable the 2008 Ramsar Conference to be a celebration of Korea's environmental heritage and the South Korean government's enlightened environmental leadership.

Sincerely,

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