チェルノブイリと福島の違い 

事務局の村上です。

高木基金理事の細川弘明さんが3月28日の「FM797京都三条ラジオカフェ」で
チェルノブイリと福島原発の違いについてお話をされたことをご紹介します。

「チェルノブイリと違うことは間違いないが、違うというのは必ずしもましだという
意味ではなく、チェルノブイリよりも条件が違うがゆえに悪くなる面がある」という
視点でのお話です。

こちらからお聞きいただけます)

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●放射能の出方について

・チェルノブイリは最初に大きな爆発があり、大量の放射能が出て、空高く
 上がり、遠くまで飛んだ。広く薄く被曝した(これはこれで問題)。
・福島原発は大爆発ではなかったが、近くに死の灰が落ちている。周辺地域
 の放射能汚染でいうと、すでに測定されている土や空間の放射線量からして
 も、福島の方が悪くなる可能性がある。
・チェルノブイリ事故のピークは2週間くらいだったが、福島の場合はこれから
 数ヶ月続くことを覚悟しなければならない状況。「だらだらほそぼそ」でも、
 蓄積していく。
・チェルノブイリよりも条件が違うがゆえに悪くなる可能性もあるということを
 考えておく必要がある。

●現在の状況

・現在は、幸い海に向かう風が多いが、北西、南西方向に「舌」を出すような
 形で高濃度の汚染地帯ができている。
・発生から二週間がたち、報道の扱いが少なくなっているが、現場の状況は
 全く改善されていない。数日前にこれまで高くなかった原発西側の地域で
 急に放射能の数値が高くなり、その後、低くなることがあった。まとまった
 放射能雲による影響だろう。
・一喜一憂しても仕方がないが、こういう深刻な状況がしばらく続く可能性。

●放出されている放射性物質

・福島第1の3号炉ではプルトニウム燃料を使用。チェルノブイリでも炉心
 崩壊によって最終的に出たが、福島は大破壊に至らなくてもプルトニウム
 が出る恐れ。
・MOX燃料に関する国際研究で、プルトニウム燃料の危険度は、条件に
 よって違うが、事故の場合の汚染は最大で2倍くらいの評価をしないと
 いけないという結論を出している。
・プルサーマルが開始されたばかりだったので、入っているプルトニウムの
 量が少ない(炉心の3分の1まで入れる計画だが、恐らく10%未満)ため、
 この研究結果ほど悪くはならないだろう。
・一方で、セシウムが出ている。数字は公表されていないがストロンチウム
 も出ているだろう。
・チェルノブイリの健康被害(長期間たってから癌や白血病)はセシウムが
 原因だったケースが多い。7~8割がセシウムという研究もある。
・半減期の短いヨウ素ばかりが発表されている。しばらく置いておけば飲ん
 でも心配ないと思うかもしれないが、セシウムが入っていれば、よくない。
・こうした半減期の長い放射性核種に注意が必要。こういう数字を公開し、
 対策を練ることが大事。
・全体としての汚染がどういう濃度でどの地域に進行しているかということ
 を確認する必要がある(が、なかなか発表されない)

●震災も同時に起きている

・福島では地震の震災とともに原発事故が発生している。こうした事態の難しさ
 が、避難している人のケアや事故に対する人員投入など、様々なところで
 ネックになっているだろう。
・電力会社の現地採用の職員や嘱託の人がたくさんいるが、自分の地域が
 津波でやられていたり、家族が行方不明でありながら、原発対応に当たって
 いるという話も聞く。同時に起きるということはチェルノブイリではなかったこと。

●放射線の影響

・基本的には集団被曝量(どれくらいの人数が、どれくらいの放射線を合計で
 浴びたか)で、その後の長期的な健康被害の量は違ってくる。同じ汚染状況
 であっても、人口が多ければそれだけそれに比例して健康被害が出る恐れが
 高くなる。
・TVなどで「~の線量をあびたら~くらいの被害」という説明を聞くが、基本的に
 大人の数字を言っている。同じ量の放射線を浴びたとき、10歳は20歳より2倍
 くらい発がんの可能性が高まる。0歳児では3倍かそれ以上。年齢を考慮した
 厳しい評価をする必要がある。
・学説の違いや議論もあるが、この間の議論を聞いていて思うのは、理論的な
 ペーパー上の議論でなく、実際にチェルノブイリで何が起きて、当事者が
 どういう経験をしているのかを見て考えなければならない。
・「甲状腺癌は比較的早期発見しやすく、手術や薬剤による治療が進んでいる
 癌なので治る。大騒ぎする必要ない」などと言うのは、チェルノブイリを
 見ていない人のセリフ。
・チェルノブイリでは、実際に早期発見され、治療できた子どももいるが、その子
 たちが皆無事に過ごしているかというとそうではない。手術した場合は一生
 ホルモン剤を飲まなければならない(成長ホルモンの出る臓器をとるため)。
 毎日薬を飲むことによるストレス、体調の乱れ、経済的負担などがある。
・放射能汚染によって人間や社会に何が起こるか、現実としてあるものをトータル
 で見れば、治るとかそれほど増えないなどと言えない。

●チェルノブイリの教訓

・距離と方角だけでは放射能汚染の実態を押さえきれない。雨や雪によって、
 ホットスポット(距離が離れているのに汚染が高い場所)ができる。測定し、
 それを早く把握することが重要。
・早急に汚染分布図などをつくって対応することが重要。

(文責:村上)

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