市民セクターの心意気 

一昨日に引き続き、昨日(11/24)も市民セクター全国会議に参加してきました。

二日目は、社会変革をテーマにした分科会でしたが、そこで報告された二つのとりくみは、非常に興味深いもので、大いに刺激を受けました。
その二つとは、ホームレス支援の若者向けオピニオン誌:「ビッグイシュー日本」と、自殺問題に取り組むNPO:「ライフリンク」です。

とにかく現場に根ざしていること。困難な壁を突き破ろうというバイタリティにあふれていること。今後への前向きなビジョンなど、小手先のテクニックではなく、本質的な部分が素晴らしかった。
「市民セクター」の到達点を確認したい、という菅波の参加目的は、この二つの報告によって、果たすことができました。

(初日は不完全燃焼でしたが、二日目で元をとった気分です)




先に報告のあった、ライフリンクは、もともとNHKのディレクターで自殺問題に関わった清水康之さんが、「毎年3万人を超える人たちが自殺を選ばざるを得ない状況に一石を投じよう」と、NHKを退職して、この問題にのめり込み、2004年に立ち上げたNPO法人です。
この間、急速に活動を展開し、今年6月に成立した「自殺対策基本法」の制定にも貢献したそうです。
清水さんは、報告のなかで、数え切れないほど「現場」という言葉を繰り返し、最後のまとめでも「徹底して当事者になる」ということを強調しました。実際の活動は、遺族や自治体、弁護士やジャーナリストなど、問題に関わる様々な人たちの「つなぎ役」と位置づけていますが、それでも現場にこだわり、当事者に徹するという姿勢は、(一件矛盾しているようにも見えますが)、本質的に正しいアプローチだと思いました。
この姿勢は、高木基金の目指す市民科学の立場に共通するものとして、大いに参考にすべきだと思いました。
(腰の引けた、プロの研究者などに、ぜひ聞かせたい話でした。)

もう一点、非常に嬉しく思ったのは、清水さんは、30才を過ぎて、NHKを退職してまでも、この様な社会活動に没頭していると言うことです。
かくいう菅波も、銀行をやめてNGOや市民活動の世界に飛び込みましたが、企業で培った経験を生かして、市民社会でチャレンジしようという人が、なかなか出てこないことに寂しい思いをしてきました。久しぶりに、そんな人に巡り会えた、という気持ちです。


二つめの報告が「ビッグイシュー日本」でした。
ホームレスの人たちの自立支援のために、若者向けのオピニオン誌を編集発行し、ホームレスの人たちに売ってもらう、というのが、ビッグイシューのビジネスモデルですが、当初は「業界のプロの人ほど、売れるわけがないと断言した」そうです。
その難しい課題にあえて挑戦して3年、通算61号、累計169万冊を売り、まだまだ赤字があるとはいえ、誰も予想しなかったほどの成果を上げつつあることについて、代表の佐野章二さんは、「成功の秘訣は、ホームレスをビジネスパートナーに選んだことだ。」と力強く応えておられました。
ホームレスの人を、単なる支援する対象とは、とらえていない、と言うことです。
一日25冊売れれば、路上生活を脱却し、簡易宿泊所に泊まれるようになる。
さらに10冊売れれば、貯金ができるようになり、
それを7-8ヶ月維持して、アパートを借りて住所を持つことができれば、新たな就職活動もできる。
佐野さんは、その様に自立へのステップを説明した上で、その先に一番大切なのは、ホームレスの人のスポーツや文化活動であり、そこで本当の自立がみえてくるのだと語っておられました。ここで読んだだけでは?と思うかも知れませんが、かみしめてみるべき話でした。
報告では、実際に販売をしている方も同席され、「ホームレスの状況で、仕事をやってみないかと誘われてから1年迷って、要約決断してやり始めたが、本当に良かった。それまでは、とにかく精神的に落ち込んでいたが、仕事が楽しくなり、仕事を通じて活力をもらった。」と実感を込めて話してくれました。
あえて、若者向けのオピニオン誌であることについて、佐野さんは、「仕事がないことは、ホームレスにも若者にも共通する問題だから」と応えておられました。
つまり、ビッグイシューのとりくみは、働くと言うことの意味を問い直すことに本質があるのだと思います。
佐野さんは、関西人特有のノリで、「とにかく変わったことをせなあかん」と笑い飛ばしておられましたが、その心意気に感じるところ、学ぶところの多いお話でした。

ライフリンクにしても、ビッグイシューにしても、市民科学や高木基金の活動に通じるものが多分にあると思いました。お互いに刺激し会える関係であるように、こちらも頑張りたいと思いました。

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