事前相談はお早めに 


事務局の菅波です。

11月も終わりが近づき、国内枠の助成応募の〆切りが近づいてきました。

ここ数日、事前相談の問い合わせも、毎日数件、寄せられるようになって
きました。〆切り直前になると、十分な対応をする時間がとれなくなる
可能性がありますので、事前相談をご希望の方は、お急ぎ下さい。

はじめて応募される方は、高木仁三郎さんの「市民科学者として生きる」
などは、お読みいただくことをお勧めします。

また、過去にどのような助成研究、研修が行われたのかも、ご覧頂いた
うえで応募されることをお勧めします。

助成募集要項は、http://www.takagifund.org/apply/index.html
過去の助成事例は、http://www.takagifund.org/archives2/top.php
からごらん下さい。

フィリピンさんとダイオキシンさんのご紹介 

事務局の村上です。

高木基金の事務所は東京の四谷駅から徒歩 5分くらいのビルの4Fにある
のですが、そこでは、次の二つの団体とルームシェアをしています。

フィリピン日系人リーガルサポートセンター 
ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議 

事務所では、いつも団体名を省略して「フィリピンさん」、「ダイオキシンさん」
と呼ばせてもらっています。それぞれ分野の違う不思議な組み合わせのよう
でもありますが、ご縁があって3団体で同居しています。

フィリピンさんはスタッフを5~6人抱えた一番大きな団体です。19世紀末から
第二次世界大戦終結ごろまでに、フィリピンに渡った日本人移民の子で、親と
死別・離別し、そのままフィリピンに取り残された方のための身元捜しや国籍
確認などの支援を行っています。

中国残留日本人孤児のことはよく知られていますが、同じようなケースがフィリ
ピンでもあることを、私はこの事務所に来て初めて知りました。スタッフの方は
英語とタガログ語を駆使して、時にフィリピンの山奥まで日系人(すでに高齢者
が多い)を訪ねて、お一人お一人の過去と現在をつなぐ活動をしています。

ダイオキシンさんは、女性弁護士158人が呼びかけ人となって1998年に発足した
団体です。ダイオキシン・環境ホルモンを始めとする有害化学物質の問題に
ついて、人間だけでなく地球上のあらゆる生物の存続への影響という観点から、
政策・立法提言活動や市民向けセミナーの開催など、様々な活動をされています。

現在は、ミツバチの大量死の原因とされるネオニコチノイド系の農薬の規制に
力を入れています。スズメやツバメも減少しているそうで、その関連性が心配
されています。

3団体の全員がそろっても10人になるかならないかの小さな事務所ですが、過去
と未来の両方を見すえた多彩な活動の拠点となっています。

「市民ファンド」としての高木基金が注目されています! 

事務局の菅波です。

来年度の国内向け助成募集を開始して、早くも3週間が経ちました。

いろいろな方(特に若い方)から、助成応募についての事前相談の申し込み
が来ています。応募の期限は、12月10日(消印有効)ですが、期限ぎりぎり
になると、相談を頂いても、十分な対応ができない可能性がありますので、
事前相談をご希望の方は、早めにして頂くことをお勧めします。

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さて、今日と明日、都内で「市民セクター全国会議2010」というイベントが
開催されています。これは、NPOなどの市民活動についてのすぐれた取り
組みの経験を交流したり、課題について意見交換をするもので、参加者は、
各地のNPO支援センターなどのいわゆる中間支援組織の方や、企業で社会
貢献活動の窓口をしている方などが中心です。

この中で、明日、「市民ファンドのつくり方・育て方」というプログラムが
あり、菅波が高木基金の活動について報告をします。

ご承知の通り、高木基金は、一般からの会費焼麩を財源として、「市民科学」
を目指す調査研究・研修を助成するNPOであり、「市民ファンド」の一つ
です。

実は、日本国内を見回しても、全国規模で寄付を集め、全国を対象に資金を
提供している「市民ファンド」は、ほとんど無いようで、高木基金の活動は、
この業界(?)の方々から、注目されているのです。
(菅波自身も、あまり意識をしていませんでしたが。)

確かに、高木基金の設立当時から、参考になるような先行事例はありません
でした。最近では、地域のコミュニティファンドなどで、「市民ファンド」
に注目が集まり、今後の活躍が期待されているようです。

高木基金としては、そのようなところで、違う分野のNPOや市民活動に、
これまでの経験が役立つのであれば、それは大変良いことであり、できる
限り協力していこうと思っています。

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今日の夜は、「市民セクター全国会議」参加者の懇親会がありました。
これまで直接面識の無かった方と名刺交換をした際に、

「高木基金の「10年のあゆみ」を読みましたよ。」

と声をかけられたりしました。

高木基金からは、全国のNPO支援センターなどに、これまでも「基金
だより」や「助成報告集」を送っています。

今日お会いした方からは、

「いろいろなところからニュースレターが送られてきますが、今回の
 「あゆみ」は、これは、と思って全部読み通しました。」

との言葉を頂きました。本当に嬉しかったです。

これは事務局として、編集をしながらも感じたことですが、「あゆみ」に
原稿を寄せて下さった方々は、非常に強い気持ち、温かい気持ちで、原稿
を書いて下さいました。

多くの方々が高木仁三郎さんの遺志に共鳴し、高木基金に期待をして下さっ
ているからこそ、高木基金の活動が、ここまできたのだと思います。そのよ
うな仕事に関わらせて頂いていることで、事務局としても、大変やりがいを
感じています。おかげさまで10年の節目を迎えましたが、これからが本当の
勝負(?)だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

九州大学で「市民科学」の講義をしてきました。 


事務局の菅波です。

先週の土曜日(11/13)は、九州大学で主に大学一年生を対象に「市民科学」
の講義をしてきました。

この講座は、高木基金の顧問である吉岡斉教授が指導しておられるもので、
「市民科学」をテーマに、土曜日の3コマずつの講義が4回行われる集中講
義です。そのうちの一回を高木基金が受け持つかたちで講義をさせて頂きま
した。

今回は、午前中は、菅波から高木基金の概要、高木仁三郎さんのあゆみ、
国内の助成先の実例を紹介、午後の前半では、村上さんから、アジアの助成
先の実情を紹介、午後の後半で、菅波から助成先のカネミ油症被害者支援
センターと、長島の自然を守る会の取り組みを詳しく紹介するなかで、高木
基金の助成による「市民科学」の実践について解説し、質疑応答などを行い
ました。

カネミ油症被害者支援センターの取り組みは、専門家でも医者でもない一般
市民のグループが、丹念に被害者の声を聞き取り、被害の実像を浮き彫りに
し、その後、行政に救済対策を求めるにあたり、重要な役割を果たした取り
組みですし、長島の自然を守る会の取り組みは、市民グループが、複数の分
野にかかわる研究者と協力し、専門的な調査を積み重ねることで、上関原発
予定地の生物多様性の重要さを明らかにしてきたものです。

菅波からは、この二つの事例の中で、被害者や地域の人たちと専門の研究者
や行政などの様々な関係者の間で、(専門家ではない)助成先のグループが、
うまく役割を果たすことによって、全体として「市民科学」の実践につながっ
てきているというようなことを伝えようと努力したのですが、うまく伝わっ
たかどうかは、あまり自信がありません。

まだ、大学一年生と言うことで、たとえば原発、あるいは公害など、社会問
題に対する具体的なイメージやスタンスが持ちきれていないのだろうと思い
ました。(自分の大学一年の頃を思い出せば、むしろ九大の学生さんの方が
まじめではないかとも思います。)

というとこで、今回の講義では、とにかく、どのような問題でも良いから、
現場に行ったり、当事者の話をしっかり聞いて、そこで自分で考えることが
大切だと言うことを強調しました。

それにしても、高木仁三郎さんの考え方や生き方のことを、まだ何も知らな
い若い人に伝えようとすることは、なかなか難しいですし、それは菅波自身
にとっても良いトレーニングになりました。しかも、30人ほどの学生を目の
前にして、その反応をじかに見ながら講義をするというのは、手応えもあっ
ていいですね。

今回は、吉岡先生から声をかけて頂き、このような機会が実現しましたが、
むしろこちらから、東京近郊の大学等で、押しかけ授業をさせてもらえない
か、高木基金側から考えていくべきなのではないかと思いました。


「たまあじさいの会」の調査に参加して 


事務局の菅波です。

先週の土曜日(11/6)に、助成先「たまあじさいの会」の水質調査に参加して
きました。

「たまあじさいの会」は、東京の日の出のごみ最終処分場や”エコ”セメント
工場周辺の環境調査などに取り組んでいます。菅波も、現地を数回訪ねていま
すが、今回、短時間とはいえ、あらためて現場に身を置いてみて、問題の重さ、
根深さを感じてきました。

(日の出の問題や、「たまあじさいの会」の活動については、昨年の助成報告
 集の記事が参考になります。→ http://p.tl/s3I7

今回の水質調査の案内チラシにも書いてあることですが、「たまあじさいの会」
のモットーは、「市民による監視・調査活動は公害発生の確実な抑止力になる」
ということです。

日の出の処分場の問題を本質的に解決するには、様々な側面からの取り組みが
必要ですが、まず、住民が監視することにより、事業者側の対応を迫り、被害
を抑えようとすることが、まず第一です。そのために、処分場周辺の水質や水
生昆虫、植生の調査など、地道な活動が続けられています。

「たまあじさいの会」では、現在、処分場近くに住むメンバーの自宅敷地に、
「市民生活科学研究所」を立ち上げる準備を進めており、今回の調査は、その
お披露目の場でもありました。ここに、大学を定年退職された研究者の方が、
大学で廃棄されたイオンクロマトグラフの測定器を提供してくださいました。
今後、全国で、処分場問題などに取り組む市民グループからの分析依頼に対応
していく計画だということです。これは今後の活動に大いに期待したいところ
です。

「たまあじさいの会」では、これまでも、他の処分場問題に関わるグループ等
に、市民側でできる調査方法をアドバイスしたり、指導してくださる研究者を
紹介したりといった活動を積極的にすすめてきました。また、大学生のフィー
ルドワークなども受け入れ、環境問題に関心を持つ人や、これから研究者を目
指す人たちに、問題の現場を体験してもらうように努めてきました。問題の直
接的な解決は容易ではありませんが、このような、本当に地道な取り組みを継
続していることが大切なのだと思います。

今回、処分場周辺の水質調査のための採水で、周辺を短時間歩き回りましたが、
それだけで、頭や服に、細かい粉塵がたくさんつきました(一瞬、自分のフケ
が大量に落ちたのかと思ったくらい)。処分場周辺で、植物の生育不良や病害
等が増えているそうですが、これは処分場からの汚染によって、植物の免疫力
が低下しているからではないかというのが、「たまあじさいの会」のみなさん
の考えです。このようなことは、厳密な分析は難しいのですが、もともと「た
まあじさいの会」のみなさんが、日の出の問題に立ち上がったのは、自分たち
の家族や知り合いなどで、体調不良を訴えたり、若くしてガンでなくなったり
した方が、何人も出たからであり、文字通り、「自らの命・健康・環境は自ら
で守る」しかない、という切実な思いに至ったからです。

ごみの問題は、私たちの日常生活と切り離せない課題です。そこから発生する
被害の現実と、その切実さを知ることが本当に大切だと思いました。もちろん、
知っただけで終わってしまってもダメなのですが、現場で現実をしっかり受け
とめることが大切だと思いました。


助成応募開始とCBD-COP10のこと 


事務局の菅波です。

昨日から、来年度の国内枠の助成応募受付を開始しました。

期間は12月10日までですので、慌てる必要はありません。
高木基金では、応募書類ができあがる前の段階での「事前相談」も受け付けてい
ますので、積極的に活用して下さい。


さて、先日、古本屋で、別役実氏の「当世 悪魔の辞典」なる本を見つけました。
「悪魔の辞典」ですし、別役氏ですから、人を食ったような話が多いのですが、
【下宿】の項に、なるほどと思いました。

「辞典」にはこうあります。

 【下宿】最近になって、我々は地球の下宿人に過ぎないことがわかった。
     しかも、どうやって払えばいいのかわからないほど、
     下宿代を滞納している。

「最近になって、・・・わかった」と言うことですが、この「辞典」は、1991年
3月に出版されています。その当時から、すでに20年が経っているのですが、実は
まだ理解が浸透していないのか、あるいはその理解が風化してしまったのではな
いか、という気がします。

先日まで名古屋で開催されていた生物多様性条約(CBD)COP10では、遺伝子
資源から得られる利益を、途上国と先進国でどのように配分するかということが
争点になりましたが、我々が下宿人であることを自覚すれば、本来、下宿代の
割り勘計算の話が先のはずです。

しかも、途上国側からは、大航海時代にさかのぼって、先進国が享受した利益も
含めて配分を議論するように求める声がありました。

菅波としては、先進国側が途上国側にしかるべく利益を配分することは必要だと
思いますが、昔のことを持ち出すとしたら、むしろ考えるべきは、将来の世代
から、「我々も当然に利用できたはずの資源を先に使ってしまったことについて
の補償」を求められたら、どうするのか、ということではないでしょうか。

菅波は、諫早湾などの干潟保全に10年以上関わっており、今回のCBD-COP10でも、
生物多様性の宝庫である重要湿地の保全を国際的に促進するための取り組みとし
て、NGOの国際会議を企画したり、関係するサイドイベントに参加したりと
いった活動をしてきました。

報道では、遺伝子資源の配分をめぐる途上国と先進国の「対立」が、必要以上に
クローズアップされていたような気がしますが、生物多様性の恩恵をどう配分
するのかという議論は、生物多様性が維持され、その恩恵を享受できていれば
こそです。

特に、安全な淡水の確保や、基本的な食料生産の基盤を維持するため、現在も
進行している生物多様性の劣化に歯止めをかけることは、まさに死活問題です。

そのことは、COP10の参加者の多くは共通認識を持っていますが、一般の我々が
その点をより強く認識し、生物多様性に関する危機感(=下宿人としての自覚)
をあらためる必要があるというのが、一番大切なことだと思っています。