「高木基金10年のあゆみ」 


事務局の菅波です。

一月ほど前から、事務局の菅波と村上で、毎週一つずつ、ブログに記事を書こう。
ということを約束していたのですが、ここ2週間ほどサボってしまいました。

10月9日の高木仁三郎さん没後10年のつどいにむけて、「高木基金10年のあゆみ」
という小冊子を準備しており、その原稿のとりまとめ、編集の作業の追い込み
で、この2週間はブログを書く時間がとれませんでした。
(ちょうど、その間に、「柏崎刈羽・科学者の会」の3周年集会があったり、
 菅波が個人的に関わっている干潟保全の関係で、韓国に出かけたりしていた
 ことも響きました。)

今回つくった「あゆみ」には、高木基金の設立時から現在までの役員から14名、
そのほかに外部の2名の方から、高木基金への意見や評価を寄せていただきまし
た。また、高木基金の助成先の内、29人(団体)から、助成の成果やその後の
研究の状況の報告と高木基金への意見をいただきました。

こうしてみなさんからの原稿を読ませていただき、助成先のみなさんが、「市民
科学」を真剣に考え、実践しようとしていること、選考委員や理事のみなさんが、
仁三郎さんの遺志をくんで、助成先の発掘、応援に知恵を絞り、熱心に取り組ん
で下さっていることをあらためて感じました。

高木仁三郎さんの「市民科学者として生きる」の中に、「本気でやれば」という
話が出てきますが、今、様々な形で高木基金に関わって下さる方々の「本気」が
共鳴しあうようなかたちで、10年目の高木基金が成立しているのだと思いました。

「10年のあゆみ」は、10月9日の「高木仁三郎さん没後10年のつどい」で配布いた
します。また、ご参加いただけなかった方にも、後日、高木基金だよりとともに、
郵送いたしますので、多くのみなさんに読んでいただければと思っています。


ノーニュークス・アジア・フォーラム 2010 in 台湾 開催中 

事務局の村上です

9月18~21日まで、台湾で開催されているノーニュークス・アジア・フォーラム
No Nukes Asia Forum) 2010に参加しています。

No Nukes Asia Forum は、日本政府が「アジア地域原子力協力国際会議(*)」
の開催などを通じて、アジアでの原発推進を加速化させていた1993年、原発問題
に取り組むアジアの市民間の情報・経験の共有や共同行動の実施をめざして、
第1回目が日本で開催されました。以後、持ち回りで韓国、フィリピン、タイなど
で開催され、今年は13回目になるそうです。

初日は、「原発と地震」「原発と温暖化」「持続可能な自然エネルギー」といった
テーマの他、日本、韓国、台湾、インドネシア、タイ、フィリピンの参加者から
「自国の原発に関する状況」について、発表・議論が行われました。

日本や韓国のようにそれぞれ54基、20基の原子炉を稼働している国にも新規での
建設計画はありますが、現在、まだ商業化した原発のない途上国で、次々と建設
計画が浮上しています。今回の報告では、フィリピンで13カ所、タイでは17カ所で、
原発立地のための実行可能性調査(Feasibility Study)が検討あるいは行われて
いるとのことでした。

こうした背景には、日本や韓国などの国や原子力産業によるセールス競争の高まり
があります。こうした状況に対して、フォーラムの参加者は、以下のような問題を
指摘しています。

・核拡散のリスク
・輸入国での事故に対する安全確保の問題(技術・人材面など)
・輸入国での市民参加(情報公開や意思決定への参加)が十分に保障されていない
・輸入国が抱える債務の問題

こうした状況を踏まえ、19日の午前中は今後について議論を深める予定でしたが、
台風11号がやってきたため、宿(国立台湾師範大学の寮)にて待機することにな
りました。せっかくなのでルームメイトたちと交流を深めています。

明日以降は、現在建設中の「台湾第四原発」などを訪問する予定です。

(*)現在は「アジア原子力協力フォーラム(FNCA)」

「応募者」のありがたさ  

事務局の菅波です。

ようやく、夜は少し涼しくなりましたね。それでも、昼間の暑さはまだまだ
厳しく、朝夕との気温の差がこたえます。早く秋らしい気候になってほしい
ものです。

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今更ですが、高木基金は、注文の多い助成基金だと思います。

「市民科学」を目指すこと、市民社会の脅威となっているような問題をテーマと
していること、助成を受けた調査研究の成果を市民社会に還元し、それをもとに
政策転換を図る道筋を展望していること。

募集要項の中でも、非常に難しい注文が並んでいますし、選考の段階で、公開
プレゼンがあり、中間報告があり、成果発表会でもいろいろな方から質問や意見
を受けることになります。

今どき、このような濃密な人間関係は敬遠されがちで、そのような関係が成り立つ
「場」は少なくなっていると思います。そのような場にかかわるには、それなりの
(相当の?)エネルギーを注ぐことが、必須だからだと思います。

ありがたいことに、高木基金には、強い気持ちを持ったたくさんの方がかかわって
下さっています。会費やカンパを寄せて下さる方も、成果発表会に参加して下さる
かたも、理事も、選考委員も。かかわって下さる様々な立場の方が、強い気持ちを
寄せて下さることで、全体として、高木基金という「場」が成立しているのだと
思います。

今年も、6月から、選考委員の一般公募を行いました。募集枠1名のところに、
4名の方から応募がありました。書類選考と面接を経て、最終的に1名の方を
選考委員として決定しました。
(まもなくウェブサイトなどで紹介いたします。)

選考委員を一般公募する助成基金も少ないと思いますが、そこに応募して下さる
方がいると言うことが、本当にありがたいと思います。
高木基金の目指す「市民科学」の考え方に共感し、選考委員という、時間的にも
内容的にも大変な任務を、自ら引き受けて下さる方がいるのです!
選考委員の一般公募は、2007年度から始めた取り組みで、昨年までの3年間で、
4名の方が、公募で選考委員になりました。その方々は、実に熱心に関わって
下さいました。そのことが、高木基金の選考委員会に、良い刺激を与え、助成の
質を高めてきたと実感しています。
今年の公募選考委員の方にも大いに期待をしているところです。

高木基金では、現在、アジア枠の助成募集を受け付けており、11月からは国内
枠の募集受付が始まります。

今年も、たくさんの意欲的な応募が寄せられることを楽しみにしています。
高木基金の活動を充実させて行くことは、良い助成をすることですし、その出発
点は、意欲的な助成の応募が寄せられることです。
結局、高木基金の活動を質の面で支えているのは、市民科学を目指して調査研究
に取り組む、「応募者」のみなさんなのです。

事務局としても、頑張って、積極的な呼びかけをしていきます。

批判に学ぶこと 

 事務局の菅波です。9月になっても、あいかわらず記録的な暑さですね。
この熱をどこかに蓄えておいて、冬場に少しずつ取り出せたらと思いますが、
何か良い方法はないでしょうか・・・。


 さて、情報収集・情報発信のツールとして、「ツイッター」は、なかなか便利
なものですね。菅波としても、高木基金としても、まだまだ使いこなせていま
せんが、ウェブサイトや動画配信等とあわせて、活用するNPO等が増えて
きました。
 ツイッターのどこが便利かと言えば、リアルタイムの発信が簡単にできる
ことと、そのリアクションがすぐに「見える」ことだと思います。
 特に、自分たちの主張への批判的な意見をとらえやすいというところが、
重要だと思います。

 菅波も、たとえば、脱原発に批判的な人たちのツイッターなどを、ときどき
見ては、参考にしています。こちらの主張が感情的だったり、根拠が曖昧で
あれば、世の中に通用しないのは当然ですし、そういったことがないか、
批判的な人のコメントを見ながら、チェックしておくことは、原発問題に限ら
ず重要だと思います。

(中には、もっと感情的な批判やら、「○○は全共闘の残党だから怪しい」的な、
 ネガティブキャンペーンに過ぎないものもありますが、それはそれで、参考に
 なります。)


 ところで、今日は、例の鯨肉横流し問題で、告発したグリーンピースの
メンバーが、逆に窃盗等で告訴されてしまった裁判の判決の日でした。
菅波もこの問題には、注目しており、予定の2時に合わせて、ネットで情報
を待っていました。
 ご承知の通り、青森地裁の判決は「懲役1年、執行猶予3年」で、新聞等
のサイトでも、少し遅れて短い記事が流れましたが、第一報は、グリーン
ピース側のツイッターでのコメントでした。
 すでに、この判決に関して、グリーンピース側では、国際的なツイッター
キャンペーンを呼びかけており、海外からも多数のコメントが寄せられて
います。一方で、グリーンピース側の主張に批判的なコメントも寄せられて
おり、そのあたりのレスポンスも、よく「見え」ます。
 
 この問題について、高木基金の理事会などで、きちんと議論したことは
ありませんので、これはあくまで、菅波の個人的な意見ですが・・・

 グリーンピース側が告発した、調査捕鯨に関する組織的な「不正」(鯨肉
の横流し)は、船員のお土産という「慣行」であったという水産庁側の主張
が、問題の初期の段階で、あっさりと認められた一方で、今回の裁判で、
グリーンピース側が主張した、NGOによる調査は社会にとって重要な役割
であり、ジャーナリストなどと同様に尊重されるべきである、という主張が
認められなかったことは、非常に残念です。

 日本の司法判断は、このような部分に立ち入らず、入り口の議論で思考
停止したような判決が下されることが多いのですが、今回も、そのような
判決だったようです。(まだ、判決の全文を読んだわけではありませんし、
そのあたりの詳細は、きちんと確認したいと思っています。)

 ツイッターなどでの、グリーンピース側に批判的なコメントは、
「不正を暴くためなら犯罪を犯して良いのか。窃盗は窃盗だ。」という
ものが多いようです。
 今回の問題があぶり出した調査捕鯨の根本的なあり方の問題、NGOの
役割や、「知る権利」の問題等が、もっと社会に広く理解されてほしいと
思います。
 その点で、グリーンピース側は、非常に頑張っていたと思いますし、
グリーンピースの出版した書籍 『 刑法に脅かされる表現の自由/NGO・
ジャーナリストの知る権利をどこまで守れるか? 』 (グリーンピース・
ジャパン/編、海渡雄一/監修[2009年、現代人文社刊/1,000円+税]は、
非常に良くできたテキストだと思いますので、一読をお勧めします。

 本当は、NGOの社会的な役割が広く認められ、NGOによる告発等
を尊重することこそが、「慣行」となってほしいと思います。
 そのために、自分自身も頑張っていかなければと思っています。


高木仁三郎没後10年のつどい「希望へと歩みつづける」は10月9日(土)です 

事務局の村上です。

今年は高木仁三郎さんが亡くなられて10年を迎える年になります。
その命日に一番近い週末となる10月9日(土)に東京・四谷で
高木仁三郎没後「10年のつどい」が開かれます。

 ご案内はこちら(参加申込の〆切は9月20日です)

              ◇◇◇

10年のつどいの副題は、「希望へと歩みつづける」ですが、
この「希望」という言葉は、高木仁三郎さんを語るときに切っても
切り離せない言葉のひとつのようです。

著書『市民科学者として生きる』の中で、高木さんは「人から人へ、
世代から世代へ、ある同じ志が持続されていく、そういう持続が、
理想を単なる理想でなく、現実へと実現させる力になり得る」と語り、
次の世代へとつなげるためのキーとなるものとして「希望」を上げています。

また、現在の危機が「人々のあきらめからきている部分が多い」と考え、
あきらめから脱出し、希望を「単に個人個人に期待するだけでなく、
人々の心の中に積極的にその種を播き、皆で協力し合って育てていくもの
としてとらえ直す必要がある」と記しています。

現代のような先の見えない時代ほど、「希望」の持つ力が求められる時は
ないのかもしれません。そういえば、米国のオバマ大統領の選挙戦の時には
「HOPE」というサインが掲げられていましたね。

でも、高木仁三郎さんの「希望」は、単に語り継がれる理念のようなものではなく、
高木さんがまさにそれを体現したからこそ、10年たった今でも生き続けているのだと思います。

1970年代半ばから市民科学者として原子力の問題と闘い続けた高木さんは、
癌を宣告されて亡くなるまでの2年余りの闘病生活においても、講演活動や
裁判での証言などを続けながら、7冊の本を世に送り出しています。そして、
「市民科学者」を育成・支援するための「高木基金の構想」を立てたのは、
その死の3ヶ月前でした。その晩年をうかがい知るだけで、持続可能な未来に
向けて「希望を確信して、希望を生きた人」という言葉が浮かびます。

私は残念ながら、存命中にお会いすることはできませんでしたが、
10月9日には「希望へと歩みつづけた」高木仁三郎さんを知るたくさんの人々が
集まられると思いますので、いろいろなお話を伺うのをとても楽しみにしています。