CBD賞の「衝撃」 

 事務局の菅波です。8月も終わりに近づき、朝夕には、秋の訪れを
感じることも(ときどき)ありますが、昼間の暑さは相変わらずで、
さすがにうんざりですね。

 実はこの週末、短期間ですが、韓国に行ってきました。菅波は、高木
基金の仕事とは別に、諫早湾などの干潟・湿地の保全活動にかかわっ
ていますが、今回は、韓国で同じように活動しているNGOのメンバーと、
10月に名古屋で開催される生物多様性条約(CBD)COP10へのNG
Oとしての取り組みについての打ち合わせと、現在、韓国で大問題となっ
ている、四大河川開発事業の現場視察が目的でした。

 この四大河川開発は、韓国の主要な4つの大河川に、合計20ヶ所
ものダムを建設し、各河川の河床や河川敷から、合計河道5億トン以上
の土砂を浚渫するもので、すでに工事が大々的に進められ、希少な動植
物の生息地が根こそぎ掘り返されるなど、自然環境に大きなダメージが
生じています。

 それだけでも重大な問題なのですが、先週の24日に、驚くべき「事件」
が起こりました。
 CBD事務局は、「グリーン経済と持続的な成長を目指す主要な方策
として、生物多様性の保全と持続的な利用を位置づけたことへの傑出し
た貢献と関与」があったとして、この四大河川開発を強力に(強引に)
推進している韓国のイミョンバク大統領に対して、CBD賞を贈ったの
です。これは悪いたとえかもしれませんが、アメリカのブッシュ元大統
領にノーベル平和賞を贈ると言ったら、だれもが「そんなバカな」と
言うと思いますが、干潟や湿地の保全にかかわり、特に韓国の四大河川
事業の問題を知るものにとって、イミョンバク大統領は、CBD事務局
から表彰される対象として、最もふさわしくない人物です。

 もともと、イミョンバク大統領は、この四大河川開発事業を、「人と
自然の共生」とか「グリーン成長」という美しい言葉で「飾って」きま
した(実際には、全くの正反対です)。今回のCBD賞が、「グリーン」
と称した開発事業による生物多様性の危機を加速させてしまうのでは
ないか、大変心配です。
 この問題については、菅波も事務局の一人として活動している
ラムサール・ネットワーク日本のサイトに関連情報等が掲載されて
いますのでご覧下さい。

CBD事務局のプレスリリースもご覧下さい。未だに信じられませんが。)

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 この8月末で、菅波が高木基金の事務局を引き受けてから、まる8年に
なりました。その当時から、諫早湾干拓の問題などにかかわり、自分たち
で情報を集め、分析し、事業主体である農水省と交渉したり、国会議員に
訴えたりと、いろいろな活動をしてきました。

 高木基金の事務局は、「市民科学」を助成し、応援する側の仕事ですが、
菅波自身は、干潟の保全などの問題について、自分自身が「市民科学」を
めざす気持ちを持ち続けてきました。助成財団などの役割は、「中間支援」
などと呼ばれますが、「中間」だけしか知らないと、問題の「現場」のこ
とがわからなくなります。
 もちろん、助成する側のトレーニングのために諫早にかかわっている
わけではなく、諫早の問題の解決を自分の問題として、かかわっている
のですが、今後も、自分自身が問題の現場にかかわり、「市民科学」を
めざすスタンスは貫いていくつもりです。


「長島の自然を守る会」への助成の意義 

事務局の菅波です。暑い暑いとボヤいても、何にもならないのですが、
やっぱり、暑いですね。

何度もお知らせしていますが、最近の菅波の重点課題は、高木基金
設立から10年のふりかえりです。

それと並行して、上関原発問題に関連して、「長島の自然を守る会」
への助成について、高木基金として、原稿を書く機会がありました。
高木基金のミッションそのものを紹介する内容でしたので、自分とし
ても、高木基金のふりかえりの一環として、「市民科学」についての
考えを整理する、ちょうど良い機会となりました。

菅波自身、上関原発計画の現場や対岸の祝島に、何度も足を運んでい
ますが、現地は本当に素晴らしいところです。

今回書いた原稿の中で、「長島の自然を守る会」への助成の意義に
ついて(やや、個人的な思いを強く出し過ぎたかもしれませんが)、
次のように書きました。

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 高木基金では、助成応募者向けの「市民科学」についての説明の
中でも、市民科学者に期待される役割のひとつとして、「現代にお
ける科学技術の選択が、将来の世代にどのような負担をもたらすか
を常に吟味し、世代間倫理に基づく問題提起を行うこと。」という
ことを位置づけている。
 上関原発予定地の目の前にある祝島では、千年にも及ぶ時の流れ
の中で、持続可能な漁業が営まれ、現在でも自然の生産性を生かし
た農業がすすめられている。それに対して、原発は、たとえ、どれ
ほどうまくいったとしても役に立つのは数十年、後始末には数万年
というシステムであり、持続可能性の対極をなすものである。自然
と共生し、持続可能な生産様式、生活様式の実証とも言うべき祝島
の声を無視し、豊かな自然環境に重大なダメージを及ぼしたうえで、
海を埋め立て、原発を建設する計画は、まさに、市民社会への深刻
な「脅威」に他ならない。ここに、高木基金が、「長島の自然を守
る会」を助成する本質的な意義がある。

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菅波自身は、1997年から、諫早湾干拓の問題にかかわり、公共事業
の問題性とともに、「持続可能な一次産業」というものが、いかに
大切か、そしてそれを、社会全体がいかに軽視しているか、という
ことを身にしみて感じ、学んできました。
これは冗談抜きに、農水省の(愚策の)おかげで、本当に勉強になっ
たと思っています。

(上関の問題にかかわって、祝島の人たちなどが、「中電のおかげ
 で賢こうなった。」とよく言うそうですが、諫早の問題で、まさ
 に同じことを感じてきました。)

諫早は、干拓の構造上、まだ、水門を通じた海水交換を復活させて、
調整池の淡水化をやめれば、有明海の生産性が(閉め切り前の状況
には戻りませんが、現状よりははるかに)回復する見込みがありま
す。

上関は、生物多様性のもっとも豊かな、まさに「ホットスポット」
を埋め立てる計画であり、これは、一度工事を進めてしまえば、回
復は極めて困難です。上関原発のための埋立は、なんとしても食い
止めなければいけないのです!



今回、原稿を寄せた書籍は、10月の生物多様性条約会議にあわせて
出版の予定ですので、詳細が確定次第、あらためてお知らせします。

アジア向けの助成募集を開始しました(〆切り9月30日) 

事務局の村上です。

今年も高木基金では、2011年度アジア(日本以外)向け市民科学助成の募集を
開始しました。〆切は9月30日です。 

募集要項はこちらからご覧いただけます(英文)。

みなさまのお知り合いの方で応募に関心のありそうなアジア地域の個人や団体
の方がいらっしゃいましたら、ぜひこの機会をお知らせいただけますと幸いです。

                     ◇◇◇
     
さて、16日からインターネットを通じて国内外に向けて募集要項の発信を
始めましたが、早速いつも頭を悩ませる質問がやってきました。その問い
は「アジアってどこからどこまで?」です。今回は中央アジアの方からでした。

「アジア枠」というのですから、分類的にはアジア全域が対象になります。
しかし、例えば西アジアや中央アジアになると、やはり距離に比例して、
その国の政治情勢から人々の暮らしまで、知りうる情報が限られてきます。

支援者のみなさまからお預かりしている貴重な資金を助成するためには、
少なくとも現地の状況や調査研究・研修の内容、申請くださった人や団体が
高木基金の助成に適していると総合的に判断できる“糸”をたぐり寄せられる
ようでないと、難しいです。

ですので、遠くのアジアの方から問い合わせがあった場合は、率直にその
難しさをお伝えするようにしています。

アジアは広いです。昨年度は、フィリピン、タイ、ネパール、インドネシア、
中国、韓国、スリランカ、ラオス、シンガポールの方から助成申請がありました。
特に途上国における環境対策の遅れは待ったなしの深刻な状態ですので、
市民科学者の育成はどうしても必要です。

適した場所・人々に高木基金の支援を届けるための大切な助成選考の時期が、
今年もやってきたことを実感しています。

過去のアジア枠の助成先はこちらからご覧いただけます。

高木基金の10年をふりかえり、みなさまのご意見をお寄せ下さい。 


 事務局の菅波です。まだまだ厳しい暑さが続きますが、
いかがお過ごしでしょうか。

 菅波は、暑さ自体は平気な方だと思っていましたが、
今年の夏は、疲労がなかなか抜けません。原因は、例年
以上の暑さだけではないようで、体力の低下も率直に受
け止めないとダメそうです。

 さて、高木基金が設立から10年目ということで、設立
当時の役員や、ご支援ご協力をいただいた方々などに、
高木基金への意見や評価、提案などをお願いしています。
また、以前の助成先のみなさんにも、助成のその後の状
況報告と、基金への意見をお願いしました。いままさに、
続々とコメントが届いているところですが、一つ一つの
意見を読むにつけ、みなさんが「市民科学」を真剣に考
え、高木基金に強い思いを寄せて下さっていることを実
感します。
 助成先のみなさんからは、助成の期間が終わった後も、
粘り強く調査研究を続けているという報告や、助成の経
験をステップとして、今の研究や仕事にいかしていると
いう報告があり、事務局としても大変励みになります。
 この10年のふりかえりについては、一般のみなさんか
らのご意見も募集しています。詳しくは、
http://www.takagifund.org/activity/2010/201007furikaeri.html

をご覧いただき、takagi.kikin@gmail.com 宛にメール
でお寄せ下さい。

 今回、みなさんからいただいたご意見は、理事会とし
ての今後の運営のあり方を検討する貴重な資料とさせて
いただくとともに、小冊子にまとめて発行する予定です。

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 ところで、この週末は、報道写真家、福島菊次郎さん
の講演会、写真展に出かけました。

・東京新聞の紹介記事→http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010081302000181.html
・毎日新聞の紹介記事→http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20100813ddlk13040218000c.html

 福島さんは、天皇制、原爆、軍需産業、三里塚などの
問題を、鋭く告発してきた報道写真家ですが、恥ずかし
ながら菅波は、今回の講演会で、初めてのその仕事の鋭
さ、重要さを知りました。
 今回、著書もまとめて買い込んできましたので、もう
少しよく勉強してから、あらためて感想などを書きたい
と思っています。


8/13 福島菊次郎氏の講演会 

那須圭子さんのツイッターからの転載です。
菅波も是非行って見たいと思います。

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お知らせ!伝説の報道写真家・福島菊次郎氏(89歳)、最後の講演会
「遺言part3」~8月14日(土)府中グリーンプラザ・けやきホールにて
 13時開場、14時開演 資料代1000円(前売800円) 
写真展も同時開催(14~16日府中グリーンプラザ5階・入場無料) ぜひ!

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化学物質問題市民研究会>ナノテク問題のわかりやすいブックレット 

事務局の菅波です。

昨年度の助成先である、「化学物質問題市民研究会」が、ナノテク問題に関する
ブックレット『ナノテクとナノ物質』 を発行しました。

この問題に関する様々な情報や論点をわかりやすくまとめた力作です。

下記に、化学物質問題市民研究会からの情報を転載しますので、ご覧ください。


ブックレット『ナノテクとナノ物質』


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ナノテクの問題を総合的に市民向けに解説した日本で初めての本
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『ナノテクとナノ物質』 
 どのように使われているか? 何が問題か?
著者 安間 武
編集発行 化学物質問題市民研究会
2010年7月30日発行 A5版 111頁
600円(送料別)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/publish/nanotech_nanomaterials.html
 このブックレットは、世界のナノテクやナノ物質に関する膨大
な情報、日本の省庁が発表した報告書/ガイドライン等を検討し、
ナノテク/ナノ物質の概要、さまざまな用途、有害性研究、倫理
的な議論、世界のナノ物質政策、日本政府へのナノ政策提言など
をなるべくやさしく、しかし正確に紹介しました。
 このブックレットが、新たに出現したナノテク/ナノ物質の基
本的な問題の概要を理解し、読者自身がナノに対してどのように
対処すべきかを考える一助になれば幸いです。
 どうぞ当研究会に注文して、このブックレットをお読みくださ
い。
(申し込み)電話/FAX 03-5836-4358 又は下記ウェブページから
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mail/mail_master.html